ジョン・P.コッターの「自分のアイディアを支持させる技術」というタイトルがHBRの最新号に掲載されており、面白かったです。イノベーションの発想パターンを学んでも、その後の実現までは話しが別だと思うため、興味がありました。
その中で、アイディアを様々な理由でつぶそうとする人にどう対応するか、という文脈の中で、以下のような攻撃リストに対して、事前に自問して対応方法をか考えておくとよいでしょう、とありましたのでそのまま引用してみます。実際パートナーとブレストするのもよいとのことです。
一つ一つ自分の例に当てはめて、自分だったらどう答えるか、準備するかを、考えて言ったのですが、経営者じゃなくて、現場レベルの、例えば、クライアントに対する提案でも十分役に立つ、よいリストだと思いました。
1.当社はずっと成功してきた。なぜ改革するのか。
2.金(または提案では振られていない課題)こそ現実の問題である
3.問題を誇張している
4.経営危機に向かっているというのか。
5.本当の意図はなんなのか
6.これはどうなのか。あれはどうなのか。そしてこれは、またあれは---。
7.君の提案はやりすぎである/生煮えである。
8.君はジレンマを抱えている
9.私にはとんでもないことに聞こえる
10.当社の価値観をないがしろにしている
11.あまりに単純化しすぎていてうまくいかない。
12.だれもこうしたりしない
13.あれもこれもというわけにはいかない
14.なるほど、これについはどうなのか(「これ」とは、提案者はまったく知らず、攻撃する人がその瞬間まで隠していた懸念事項)
15.社員たちは不安を募らせている
16.前もやったが、うまくいかなかった
17.難しすぎて、よくわからない
18.悪くないアイディアだが、時期が悪い
19.これをやるのは大変だ
20.ウチではうまくいかないだろう。別の会社である。
21.そのせいで、業績が悪化する
22.これをする余裕はない
23.社員たちを説得するのは無理だろう
24.単純にこれをやる体制がない
★自分だったらこうする、という自分のシミュレーション結果も挙げてみます。
1.当社はずっと成功してきた。なぜ改革するのか。
⇒おっしゃる通り成功してきているように見えます。株主からの評価も高いですしね。ただ、目に見えないところで、実は、現状はこういう課題があるんです。データはこれです。このままいくと、○年後には高い確立でこのようになってしまいます。そうすると、こういったマイナスのスパイラルに入り、リカバリーする為に非常にパワーがこれくらい必要になってしまいます。
(要するにデータ準備して、それを示しながら分かりやすいロジックで納得してもらう)
2.金(または提案では振られていない課題)こそ現実の問題である
⇒そうですね、たしかに金は一つ解決しなけばいけない現実の問題ですね。ただ、それは提案しているアイディアを実現すれば、こういう理由で、それが問題ではなくなくなりますよ。
(提案を実行すると、その問題が消えてしまうことを分かってもらう。そのための課題の連鎖を表すツリーみたいなものを準備しておく)
3.問題を誇張している
⇒そうでしょうかね・・言い方が悪かったのかもしれませんね。ただ、データによるとこのように出ているので、誇張というよりも、むしろ、控えめに言っているくらいです。
(言い方の問題だったとあやまりつつ、実際、誇張ではないことをデータを示す)
4.経営危機に向かっているというのか。
⇒現時点で、経営危機というわけではないと思いますが、このままいくと、確実にそうなってしまうと思います。
(言葉の強さで圧迫しようとしている相手に対して、正面からぶつからずに、そういう危険性があり、いまだったら対応可能だ、ということを伝える)
5.本当の意図はなんなのか
⇒本当の意図は、この問題を課題を解決したい、ということです。もし自分がやらなくてもいいので、会社にとってこの課題は解決すべきだと思います。
(利己的な理由で言っていると思われないように、そうではないということを仮定で示す)
6.これはどうなのか。あれはどうなのか。そしてこれは、またあれは---。
⇒今、一番重要なことは、これです。これが一つ解決されると、仰っている点が、解決されます。
(小さい問題が現象として見えて質問を連発してくる相手には、なにが重要なことなのかを伝える)
7.君の提案はやりすぎである/生煮えである。
⇒ただ、そこまでやらないとやる意味がありませんよ。逆に中途半端にやることで、こんなマイナス面が出てきます。ここは一気にこうしましょう。
(中途半端にするマイナス面を分かってもらう)
8.君はジレンマを抱えている
⇒意図がクリアでなかったんでしたらすみません。ジレンマはありません。ちなみに私はどんなジレンマを抱えているように見えますか
(訳の分からないことを言う相手には、その意図を逆に質問する)
9.私にはとんでもないことに聞こえる
⇒なるほど、実現できるのだろうか、と思っていらっしゃるということですね。実現はこのようにすれば、十分に可能です。
(相手の不安ポイントを確かめて、それなら大丈夫だよ、と伝える)
10.当社の価値観をないがしろにしている
⇒当社の価値観は、こうです。ですので、今回の提案はその価値観に則った形でお持ちしています。もし、すれていると思われるところがあれば、具体的に教えてください。
(当然価値観の範囲内であることを分かって提案していることを伝える)
11.あまりに単純化しすぎていてうまくいかない。
⇒実際、課題はシンプルです。いろいろ複雑に見えることも、その本質をたどっていくと、この課題に収斂されます。この課題図を見てください。またアイディアもシンプルな方が実現しやすく成功しやすいです。
(本当はもっと複雑な問題が隠れているのではと疑っている人に対して、課題の整理を分かりやすく説明し、本質的な課題がシンプルであることを示す)
12.だれもこうしたりしない
⇒実際、そうなんです。逆に、みんながやっている方法では、マネですから、いいアイディアとは言えません。誰もやらない方法をとって、他社を出し抜きましょうよ。
(前例主義や他社のマネをしないと安心できない人に、そうじゃないアプローチの方が自社にとっていいということを伝える)
13.あれもこれもというわけにはいかない
⇒おっしゃる通りです。実際、実行できるのは1つです。この1つに集中してやりましょう。
(言いたいことを逆手にとって、主張に変える)
14.なるほど、これについはどうなのか(「これ」とは、提案者はまったく知らず、攻撃する人がその瞬間まで隠していた懸念事項)
⇒そういう懸念事項があるんですね。それに関しては、提案に対するインパクトを検証して改めてお持ちします。
(対応できなければ、持ち帰る。あくまで冷静に。)
15.社員たちは不安を募らせている
⇒ちなみに、誰がそのように言っていましたか。私の耳には入っていないのですが・・ああ、なんとかさんですか。
(不安を煽ろうとしていると思われるので、必要以上に不安にならないように、誰が実際にそのように言っているかを確認する)
16.前もやったが、うまくいかなかった
⇒ちなみに前はどのようにやりましたか。うまくいかなかった理由はなんでしょうか。それであれば、今回の案はそのうまくいかなかった原因がないので大丈夫ですよ。
(うまくいかなかった原因を明らかにして、それを回避するような案であることを伝える)
17.難しすぎて、よくわからない
⇒すみません、結論を一言でいうとこういうことです。例えるとこういうことです。
(要するにどういうことかを噛み砕いて言う。また分かりやすい喩え話をする)
18.悪くないアイディアだが、時期が悪い
⇒このアイディアは、今やるべきものです。逆に、今やらないともっと状況が悪くなります。状況をよくするために、今やるべきことを提案しています。
(先延ばししようとしている相手に、今やるべきだということを、先延ばししても意味がないことを伝えて分かってもらう)
19.これをやるのは大変だ
⇒たしかに大変ですが、実現するための体制とスケジュールをこのように作りますので、実行はおまかせください
(実行面にもちゃんと配慮していることを伝えて分かってもらう)
20.ウチではうまくいかないだろう。別の会社である。
⇒そのように思われる理由はなんですか。それであれば、その課題を解決する解決策を用意します。
(うまく行かないと思う理由を聞いてその課題に対する解決策を提示する)
21.そのせいで、業績が悪化する
⇒このアイディアを実行することによって、このようなシミュレーションされます。それによると業績は逆にいつまでにこの程度アップします。
(アイディアを実行した結果をシミュレーションしておく)
22.これをする余裕はない
⇒これを実現するためのリソースはこれだけ必要です。現在ないものは、このように調達して実行します。ですので、リソースは問題になりません。
(余裕が問題にならないようにかかるリソースを明らかにして足りない場合の策も考えておく)
23.社員たちを説得するのは無理だろう
⇒なぜそのように思われますか。社員の立場に立ってみると、むしろ求めている変化であると思います。最初は抵抗するかもしれませんが、きちんと説明すれば分かってくれるはずです。
(社員の立場に立ってもよい提案であることを主張し、説得できることを分かってもらう)
24.単純にこれをやる体制がない
⇒このアイディアを実現するための体制はこのようなものです。社内ではこのような方法で調達します。もし足りないようであれば、外部からこのような方法で体制を作りますので、実現に問題ありません。
(実現可能な体制も考えておき、それを伝える)